東京の温泉は、掘削の場所や深さにより、色、温度、成分に違いがあります。
都心や多摩東部は、水を含みやすい砂やシルト(砂より小さく泥より粗い堆積物)などの堆積層で構成されており、この地層から温泉をくみ上げるのが一般的です。一方、西多摩地域や島しょ地域は、洪積層で構成されており、浅いところからくみ上げている温泉が多くみられます。
近年は、地下1,000mを超える深部まで掘った温泉を利用した入浴施設が、都内各所に増えており、都心でも温泉気分を味わうことができます。
東京の温泉は、地域により次の特徴があります。
大田区などの臨海部周辺には、淡褐色や黒褐色の「黒湯(くろゆ)」と呼ばれる温泉が広く分布しています。 メタケイ酸や炭酸水素ナトリウムなどを含む25℃以下の温泉で大昔の海水を由来とする「化石水」であるといわれています。 銭湯などで利用されているため、毎日通う人も多い温泉です。
奥多摩町などの西多摩地域には、硫黄を含む温泉が点在しています。江戸時代には湯治場として栄えた温泉もあり、現在は周辺の旅館などで利用されています。
特有の硫黄臭に加え、周辺の豊かな自然を楽しむことができます。
大島や八丈島などの島しょ地域は、富士火山帯に属していることから、火山性の温泉で高温のものが多く、中には80℃を超えるものがあります。塩化ナトリウムが豊富なため、海水のような塩味があるのが特徴です。
都会から離れた開放感と島特有の景色が心身ともにリラックスさせてくれます。